東京都知事選挙2024 候補者の政策など出揃ったので比較分析

根本のところでの対立軸はあまり多くない

 東京都知事選挙2024 主要候補者4名(小池百合子さん、蓮舫さん、石丸伸二さん、安野たかひろさん)に絞り、ホームページ等から政策(マニフェスト)を読み込み、比較分析してみました。
 正直、対立軸はあまり多くはない印象ですが、特徴はいくつかありました。

既存政治へのアンチテーゼ vs 既存路線の深化

 蓮舫さんと石丸さんは、既存政治へのアンチテーゼを謳っています。ただしそのアプローチはまるで異なり、
・蓮舫さん 野党視点(反自民)
・石丸さん 民間・無所属視点
が色濃く出ています。
 一方の小池さんは「これまでの活動の継続・深化」を謳っており、2期8年の実績を強調した視点でした。

各候補の特徴を一言で表すと

 各候補の特徴を一言で表すと、
・小池百合子さん これまでの活動の継続・深化
・蓮舫さん 生活者の底上げ
・石丸さん 政治屋の一掃と首都・地方連携
・安野さん テクノロジーの活用
といった雰囲気を感じました。正直、対立軸というよりもお互いの特徴を重ね合わせて、チーム戦で都政に臨むとかなりパワフルなチームになるのではないか、という印象を持ちます。
 とは言え、小池さんと蓮舫さんがワンチームになるとはとても思えないので笑、それ以外の組合せになるでしょう。

各候補の政策サマリとリンク ~ 小池百合子候補 ~

小池百合子候補 ホームページリンク https://www.yuriko.or.jp/ (すごいアドレスをゲットしてるなあ笑) 

 「これからも、都民のために。都民とともに。 もっとよくなる東京大改革3.0」
 以下、政策なのですが、政策というよりToDoの羅列になっている印象を受けました。しかしながらこれこそ、「これまでの実績がものをいう」ことの表れかもしれません。
 私は、グランドデザイン的に資料を見たときにはあまりピンときませんでした。
 年齢がかなりベテランの域に入っており、これから4年継続を考えるとそこが心配要素ではありますが、、、実績は盤石。

【セーフシティ】
◉ 地震・火災から命を守る木造住宅密集地域の解消促進
◉ 災害時、道路を活かし命を守る「無電柱化」の推進
◉ 900万人が暮らすマンション防災の強化
◉ 安全・安心で快適な「避難所改革」の実施
◉ 新たな「調節池」の整備で水害にも強いまちづくり
◉ グリーンインフラでまちの保水力をあげる
◉ 「シェルター整備」でミサイルの危機から都民を守る
◉ 富士山噴火を想定した降灰対策の実施

【ダイバーシティ】
◉ 無痛分娩費用も新たに助成
◉ 保育の無償化、第一子まで拡大
◉ 子育て世帯への家賃負担の軽減
◉ 東京都版大学給付型奨学金制度の創設
◉ 学童保育の待機児童ゼロと質の向上へ
◉ 東京都版海外留学制度の創設
◉ インクルーシブ教育の推進
◉ 支援員の配置強化で中学校でも35人学級へ
◉ 女性活躍基本条例の制定 
◉ 年収の壁を超える取り組みの加速
◉ ソーシャルファームをもっと加速
◉ 障がい児を育てる家庭への支援拡充
◉ 都独自の認知症専門病院創設
◉ 在宅医療介護支援を強化
◉ おひとり様高齢者への支援強化
◉ 東京都版介護職員昇給制度を構築

【スマートシティ】
◉ 防犯カメラの設置拡大や防犯機器助成
◉ 熱中症から命を守る暑さ対策の推進
◉ 世界をリードする脱炭素の取組み加速
◉ 手軽な価格で住める「アフォーダブル住宅」推進
◉ シルバーパスの改善
◉ 江戸・東京の文化を世界遺産に
◉ 水の都の再生
◉ ナイトタイムエコノミーの推進で観光振興の更なる加速
◉ 世界陸上・デフリンピックの成功
◉ 新たな文化芸術祭の開催
◉ 中小企業の賃上げを徹底支援
◉ 事業承継・再生支援で新たな価値創造を支援
◉ 男女賃金格差解消に向けた支援の拡充
◉ 非正規雇用の処遇改善を支援
◉ 働くひとたちを守る、カスハラ条例制定
◉ スタートアップ支援で東京からユニコーンを創る
◉ クリエイターの才能を育むプロ養成機関の創設
◉ 市町村総合交付金の更なる拡充
◉ 多摩モノレールの更なる延伸やシルバーパスの対象に
◉ 中央線など鉄道駅へのホームドア設置の加速
◉ 島しょ振興策の拡充

各候補の政策サマリとリンク ~ 蓮舫候補 ~

 蓮舫候補 ホームページリンク https://renho.jp/
 以下が政策の骨子になります。やはり、野党視点での政策が多い印象では、あります。

01. 現役世代の手取りを増やす本物の少子化対策
・新しい条例で、都と契約する事業者に、働く人の待遇改善を要請します
・まずは非正規の都職員を、専門職から正規化するなど処遇を改善します
・新しい職種に転職しやすくするリスキリング(職能再開発)を支援します

次の東京
・国と協力して非正規格差の解消に取り組みます
・新しい条例で、東京都と契約する企業に、働く人の待遇の改善を要請します
・東京都の非正規職員を、専門職から順次正規化するなど処遇改善を進めます
・子どもが多くいる世帯(住民税非課税世帯)への「家賃補助制度」をつくります
・TOKYO FREE Wi-Fiの強化で、「つながる東京」を実現します
・農業雇用など新しい就労方法をひろげます。また企業が単独で障がい者を雇用するだけではなく、就労条件を守ることを前提に委託等の形の推進も検討します
・リスキリング(職能再開発)支援をより使いやすくします

2. あなたの安心大作戦 頼れる保育・教育・介護・医療へ
・福祉の現場などで働く若者の奨学金返済支援や家賃支援を拡充します
・教師の付随業務を減らし、子どもとの時間を増やします
・認知症対策を強化し、介護のために離職をしないで済む社会にします

次の東京
・保育・教育・介護・医療現場で働く人の奨学金返済支援や家賃支援の拡充など、働く環境をさらに改善します
😄サービス提供者が笑顔なら利用者も笑顔に😄
・DXやサポートスタッフの活用で、教師の付随業務を減らし、子どもとの時間を増やします
😄先生が笑顔なら子どもたちも笑顔に😄
・高齢者や子どもの見守りネットワークづくりを応援します
・認知症対策を強化し、介護のために離職をしないで済む社会にします
・シルバーパスから、“スーパー”シルバーパスへ( 多摩モノレール・ゆりかもめ・都県境のバス路線などへ適用拡大を検討)
・コロナ禍の経験を踏まえ、感染症再来や大災害に備え、かけがえのない都民の命を守る対策を強化します

03. もっと多様で生きやすく あなたの人生の選択を大切にする
・不合理な慣習や制度で困っている女性を応援する施策を進めます
・自治体や企業との連携で「パートナーシップ宣誓制度」を利用しやすくします
・都内160 万頭のペットと豊かに共生できる都市をめざします

次の東京
・経済的・社会的な不利益や、「なぜ?」と思う不合理の解消などに向けた取り組みを進めます
・様々なチャレンジや成長、気づきや学びの機会を提供し、女性を応援します
・パートナーシップ宣誓制度を利用しやすくするため、自治体や民間企業との連携を進めます
・選択的夫婦別姓が実現するまで、異性間でも、望めば叶うパートナーシップ宣誓制度を使えるようにします
・災害時にペットと一緒に避難できる可能性を検討します
・ペット同伴可能店舗を応援します

04. 本物の行財政改革 徹底見直しで、ガラス張りの都政に
・毎年の継続チェックが重要であり、事業評価を毎年全事業に対して行います
・「東京版・行政事業レビュー」を導入して、ガラス張りの都政を実現します
・公金や補助金の支払先を原則公開し、新たなビジネスチャンスを生み出します

次の東京
・事業評価の対象を全事業に広げます
4 年に1 度ではなく継続したチェックが重要です
・「東京版・行政事業レビューシート」の導入で、都民誰もが「まっとうに」チェックできるガラス張りの都政を
・公金や補助金の支払い先は、原則として公開します
➡都からの支払い情報を公開することで、新たなビジネスの種にします

05. 本物の東京大改革 古い政治から、新しい政治へ
・絶大な権力を有する都知事だからこそ、政治資金パーティーは開催しません
・意思決定プロセスを透明化し、都の持つデータをオープンデータ化します
・専門家や当事者で「知事直轄円卓会議」をつくり、ボトムアップの都政にします

次の東京
・絶大な権力を有する都知事だからこそ、私は政治資金パーティーを開催しません
・意思決定プロセスの透明化&都の持つデータをオープンデータ化して、経済を元気にします
・目指すはボトムアップの政治です
知事直轄の円卓会議を設置して、様々な課題に専門家や当事者、地域団体やNPOなどの知恵をお借りします

06. 東京全体をもっと良くする 未来への責任/住みよい多摩へ
・神宮外苑の再開発を見直して、大切な緑を守ります
・都心にもっと緑地を増やし、緑豊かな国際都市をめざします
・多摩地域の一部に導入されていない学校給食の無償化を実現します

次の東京
・神宮外苑の再開発を見直して、大切な緑を守ります
−もっと住民参加と住民説明を促します
再開発の前提となっている「公園まちづくり制度」の適用プロセスや環境アセスメントを、もう一度厳格に検証します
・緑地は、環境・社会・経済において多くの機能と効果をもたらし、防災やコミュニティの醸成、インバウンドの向上が認められています
➡都心にもっと緑地を増やし、緑豊かな国際都市をめざします
・多摩地域でも学校給食を無償化します
・多摩の利便性をUP!
羽田空港アクセス線(西山手ルート):八王子 ⇔ 羽田空港を直通1 時間で結ぶ特急電車の推進にコミットします

07. 良い政策は発展させる 行政の継続性も大切に
・防災・経済・警察/消防・子育て支援・国際都市/文化芸術都市・高齢者福祉などの分野でも良い政策は、これからも引き続き取り組み、さらにパワーアップさせます

次の東京
命を守る防災
引き続きハードの整備に取り組みつつ、専門家・NPO・企業との連携やDX の活用を進めることで、発災後すぐに救援体制を整えるなど、日頃からソフト対策を充実させます(避難所開設の手順総点検/個室テント・トイレトレーラー・スマホ充電の不安解消)
経済成長
商店街のにぎわい支援や中小企業支援などにこれからも力を入れつつ、起業やスタートアップ支援などで新しいビジネスチャンスを徹底的に支援します
警察/消防
人員、設備、器材などの強化方針をさらに実現しつつ、安全安心の街づくりを進めます
子育て支援
高校無償化など各種支援策を続けつつ、子育て・教育のさらなる負担軽減や質の向上をはかります
国際都市・文化芸術都市東京
東京2025 デフリンピックなど、国際イベントの成功に向けて全力で取り組み、さらに都民が文化芸術・スポーツに親しむ機会を増やしていきます
高齢者福祉など他の分野でも、「良い政策」は続けることが前提です

各候補の政策サマリとリンク ~ 石丸伸二候補 ~

石丸伸二候補 ホームページリンク https://ishimaru-shinji.com/
以下が政策の骨子です。実現したい重要なことは3項目で、明確です。対立要素で言うと、既存政治へのアンチテーゼと地方連携の部分、それ以外だと実は対立要素あまり多くない印象です。

1 政治再建
■都政の見える化・分かる化を進めます!
SNS・YouTubeを活用し、都民の皆さんの関心を都政に向けます。ガイドラインを遵守し、情報公開を徹底します。
■ICTを活用して民意を集約します!
アナログ・デジタル情報を効率的に収集し、住民のニーズを分析。行政サービスの最適化を進めます。
■政策を合理化・適正化します!
利権政治から脱却し、バラマキ事業を廃止。経済合理性に基づいた政策で全体最適を図ります。

政治や行政の透明性を高めることを重視しています。
SNS・YouTube等を活用。情報公開を徹底し、みなさんとのコミュニケーションを強化、AI(人工知能)を活用して民意を集約し政策に反映させる、信頼される行政を目指します。
このアプローチにより、政策の合理化・適正化をし、みなさんが政治に対してより関心を持ち、参加しやすい環境を整えます。

2 都市開発
■災害リスクへの対応を強化します!
自助・共助・公助の役割分担を明確化し、災害への備えを整えます。復旧・復興に対する財政的な準備(リスク・ファイナンス)を強化します。
■経済と環境、二つのエコを両立します!
経済(エコノミー)を軸に、環境(エコロジー)を整備。人と自然の調和を図り、物質的・精神的な豊かさを追求します。
■多摩格差の是正に取り組みます!
基礎的な行政サービスの充足を促し、各自治体の特色を強化するために、ハード・ソフトへ投資します。

過密な東京都にいま災害が起きた際壊滅的な打撃になってしまいます。そのため東京都のカタチをリバランス≒再調整が必要と考えます。
また、人類がきちんと営みを続けられる前提で対処していくべき環境問題として掲げた2つのエコの両立。
23区外と過密する23区内との格差の解消を図ることで、災害リスクをも考慮した全体最適につながり持続可能な都市計画を推進し、安全で質の高い都市生活を実現することを目標としています。

3 産業創出 

■教育の深化・進化に取り組みます!
教職員の働き方改革が進むよう学校環境を改善し、民間のサービスを導入して学校教育を充実させます。
■外需を取り込みます!
インバウンドを円滑に取り込み、経済波及効果を高めます。世界に通じるコンテンツ産業を育成します。
■46道府県との協調・協働を推進します!
ライフサイクルに合わせた回遊型社会を構築し、相互作用的な地方との文化交流の機会を提供します。

「産業創出」の一環として教育の深化・進化を重視し、将来の成長を支えるために教育に投資します。
教育の質を向上させ、学生たちが豊かな未来を築けるよう支援するとともに、外需の取り込みと46道府県との連携を強化してきます。
東京からコンテンツを生み出すことは難しいため、国内外からコンテンツを生み出し、育む環境を整えることで、人材や資金の流入を促進していきます。
46道府県とは日本国というチームを形成するメンバー。手を差し伸べいっしょに走らせる!そしてその役割が果たせるのは首都東京。
いっしょに国を強くするマインドセットを持ち、経済強国の実現を目指しましょう。

各候補の政策サマリとリンク ~ 安野たかひろ候補 ~

安野たかひろ候補 ホームページリンク https://takahiroanno.com/
驚いたのが、安野さんのホームページでマニフェストとしてアップしているスライドの、政策の解像度が非常に高いこと。おそらく半年くらいかけて政策を練ってきたのではないかと思われます。少しテクノロジーに寄っている感はありますが、それこそ安野さんの強みに基づいた政策であり、特徴なのだと認識しました。
ホームページから見れる、マニフェスト詳細版は必見です。
しかしながら、安野さんは知名度が低いことが一番のハードルでしょうね。。。

【テクノロジーで誰も取り残さない東京へ】

現役世代
新産業で所得倍増
AI関連産業などの世界をリードする新産業を育て、東京全体の経済を活性化します。

先輩世代
とことん安心の医療・防災
生活に重要な医療防災。子供から高齢者まで安心して暮らせる東京へ整備します。

未来世代
世界一の子育て、教育環境
子育て・教育にかかる負担を軽減し、個々の強みを伸ばす教育体制を構築します。

行政運営
行政をもっと簡単、透明に
煩雑で労力の多い事務手続きをデジタルで改善。行政にスマートフォンを活用します。

民主主義
高速な民意反映
選挙期間だけでなく、都民の意見がリアルタイムに伝わる仕組みを構築します。

詳細は、ホームページ内にあるマニフェスト https://docs.google.com/presentation/d/1kE_W3NpvIODglaN1OrKKxmq-rNMu69Vnh7M9hhSpFwU/preview?slide=id.g2e77cab1082_6669_0
を読み込むのをお勧めします。相当に気合の入った政策集です。

どの候補に投票するか?

 もちろん、投票は各自の想いに基づいてすべきものですが、
・政策(企画力)
・実績、実行力
・人柄、リーダーシップ
・コミュニケーション力
・年齢
あたりの要素を総合して判断し、私は投票に行こうと思っています。

 今回の都知事選は、政党をバックにする有力候補者に加え、石丸さん、安野さんといった若手で政治色のない方々が勇気をもって出馬されたことで、これまでとは選挙戦の雰囲気が変わってきていると思います。国政とは違う、盛り上がりがあると感じています。
 そして、候補者の方々が開票後にはノーサイドになって、互いの良いところを汲み取り、なんなら候補者を副知事で招き入れるくらいのことになれば、最強チームが出来上がるなあ、、、と感じ入るところです。

 それでは、7月7日の投票、開票を楽しみにしたいと思います。

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