早ければ2027年4月から始まる会計期間での対応が必要になると言われている新リース会計基準について、まだルールが固まるのはこれからですが現段階の情報をもとに解説していきたいと思います。
そもそも、なぜ新リース会計基準の検討がなされる必要があるのか?
有価証券報告書での記載方法など、不特定多数の投資家が上場企業に投資を行う際に、投資家保護の観点で企業評価の透明性を増すため継続的に改訂が行われています。
リース業務を例にとると、企業側が短期的な資金負担を軽減するため、および支出と収入の時間軸を合わせるためにリースの手法をとることは財務戦略として選択されることは十分にあり得ることです。
しかしながら、リース契約については将来の支払が約束されているので、それを財務諸表に反映させる必要があるとの解釈に基づき、これまでオペレーションリースの扱いとして支払費用のみ識別していた取引を、IFRS16号でリース資産全体において債務終了までの期間にわたってオンバランスでBS計上することになりました。
そして、日本の会計基準もグローバルのトレンドに合わせるべく、現在の新リース会計基準の検討につながっているわけです。そのなかで、何は新たにリース資産に該当し、何は該当しないか?またその評価手法はどうなるか(海外のリース物件での外貨の扱いや、重要性に照らしてリース資産に該当するか?否か?など)を詳細に検討しているわけです。 これまでも日本の会計基準とIFRSなどグローバルの会計基準は少しずつ違いがあり、グローバル企業との横並び比較に多少なりとも支障が生じています。グローバルの投資家は、日本の会計基準がグローバルの基準にコンバージェンスされることで比較可能性が増し、日本の上場企業への投資意欲が高まると言われています。
レイヤーズコンサルティングのページで、新リース会計導入に伴うビジネススキームの変更インパクトも含めて詳しく解説がなされています。
https://www.layers.co.jp/solution/leaseaccounting/
現在、ASBJで公開草案をもとにした各論点の検討が続いており、その経過などASBJのホームページで知ることができます。やや、難解です。
(ASBJ)企業会計基準委員会
https://www.asb-j.jp/jp/
当然、4大監査法人をはじめとする監査アドバイザリーは新リース会計に関する解説をしてくれています。主要なリンクを貼っておきます。
4大監査法人系の解説ページ
・EY
https://www.ey.com/ja_jp/library/info-sensor/2023/info-sensor-2023-08-01
・トーマツ
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/risk/articles/or/new-lease-standard.html
・KPMG
https://kpmg.com/jp/ja/home/insights/2023/09/jk-accounting-kigyokaikei-2023-09-lease1.html
・PwC
PwCは、ホームページ上での解説ページは見つからず、セミナーや支援サービスの告知が中心となっていたので、リンク掲載は省略します。
システムソリューションベンダーの解説ページ
・プロシップ
固定資産システムプロバイダーのプロシップは、IFRS16号対応でのノウハウなどをもとに、ホームページ上でかなり懇切丁寧に新リース会計基準のガイドを公開しています。新リース会計の対応に向けた進め方をはじめ、かなりのページを割いて解説されています。
https://www.proship.co.jp/nab/
・SAP
グローバルNo1のERPベンダーであるSAPも、新リース会計に関する記事を公開しています。リース物件の対応をSAP標準機能でどのように処理できるか、システム機能の使い方が中心の記事になっています。
https://news.sap.com/japan/2024/04/16944/
・オービック
国内の企業で高いシェアを誇るオービックですが、現時点での情報としては固定資産奉行i11で新リース会計基準にも対応!と書いてあるのみのようです。新リース会計基準が定まってきたら、本格的に機能の開発に入っていくのでしょう。
https://www.obic.co.jp/bugyo_series/shokyaku.html
おそらく、そう遠くないタイミングで新リース会計基準が固まり、各社での検討も本格化していくと思います。まだ慌てる必要はないですが、直前にバタバタすることのないよう準備は着実に進めていければと思います。
今後も、定期的に新リース会計基準のアップデート状況をお伝えしていきます。
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